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【Vol.1】
カール・ハンセン&サン社「Yチェア」が立体商標として登録!!

最近、続々と立体商標が登録され始めました。

従来は、不二家のペコちゃんや大隈重信像のような商標が立体商標として登録されるのみで、「角瓶」「ヤクルト」の瓶の形状は商標登録を受けることができませんでした。

そのため、一体どんな立体的形状なら商標登録されるのだろうか、諸外国では、柔軟に立体商標を認めているのに、なぜ日本ではその登録を認めないのかといった意見も多々ありました。そして、「ミニマグライト(H18(行ケ)10555)」の立体商標の判例に始まり、「コカ・コーラ(H19(行ケ)10215)」の瓶の形状が登録されると、外圧があるからではないか、国内企業はなぜ登録されないとの批判もありました。

しかし、昨年11月、待望の「ヤクルト(H22(行ケ)10169)」が登録され、つい最近、資生堂の関連企業「ジャンポール・ゴルチエ」ブランドの「香水瓶事件(H22(行ケ)10366)」、そして、今回はカール・ハンセン&サン社の「Yチェア」、このように続々と立体商標が登録され始めています。

「Yチェア」を知らない人からすれば、ただの椅子が登録されていいのかと考える方もいるかもしれません。しかし、同社は、昭和25年の発売開始以降、ほぼ同一の形状を維持し、日本で最も売れている輸入いすの一つとして雑誌で紹介されるほど日本全国で周知著名となりました。その結果、「ほぼ半円形に形成された1本の曲げ木が用いられ、背もたれ部はY字またはV字のような形をするなど、特徴的な形状を持つ」ものであり、商標登録を認めるべきだとの判決が出されました。

どの事案も、長年の営業努力の結果、立体商標がその会社を表示するものとして認められました。皆様、商標権は取得するだけでは意味がありません。長年使用し続けることで価値が上がるものです。どうか、積極的に貴社が所有する登録商標をご使用下さい。

ちなみに、ミニマグライトが認められた理由の一つには、長年にわたり不正競争防止法において、類似商品を排除してきた実績を評価しています。一方、ヤクルトは、判決後、他社の類似商品(容器)に対して、販売の差し止めは求めないとしています。何とも日本企業といった感じです。




掲載日:2011.08.08
作成者:泉澤
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