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【Vol.13】
2015年4月1日より、「新しいタイプの商標」の登録制度が開始します。
近年、デジタル技術の革新を背景に、言葉の壁を越えて、音や色彩を用いた多様なマーケティング、広告宣伝方法が駆使されています。しかしながら、これまで商標として登録し保護できたのは、「文字」や「図形」、「立体」などに限られていました。 こうした中で、昨年、商標法が改正され、本年4月1日から、保護の対象が「音」や「色彩のみ」などの「新しいタイプの商標」まで拡大されることになりました。これにより、権利を重層的に保護することが可能となりますので、今後のブランド戦略に大いに資することが期待されます。
音商標 |
音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標 |
色彩のみからなる商標 |
単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標 |
動き商標 |
文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標 |
ホログラム商標 |
文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標 |
位置商標 |
文字や図形等の標章であって、商品等に付す位置が特定される商標 |
<ご参考・従来の商標>
文字商標 |
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図形商標 |
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立体商標 |
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<新しいタイプの商標に関するよくある質問>
Q1.「従来の商標」と「新しいタイプの商標」とは類似するの?
A1. 商標のタイプを越えて、「出所の混同」が生じるかどうかを考慮した類否の判断が行われます。
例1)「図形商標」と、この図形が単に移動する「動き商標」とは、類似すると考えられます。
例2)「文字商標」と、この文字を単に読み上げた「音商標」とは、類似すると考えられます。
Q2.「新しいタイプの商標」を権利化しなかったら?
A2. 本制度導入(2015年4月1日)の前から新しいタイプの商標を使用していた場合は、従来の業務範囲内で使い続ける「継続的使用権」が認められます(ただし、「位置商標」については認められません)。尚、継続的使用権が認められる範囲は「従来の業務範囲」内に限られますので、将来、商標を変更したり、業務を拡張したり、使用地域を拡大したりすることはできません。
Q3. 登録するためにはどうしたらいい?
A3. 特許庁に対して、商標登録出願を行います。商標登録出願は、先願主義(いわゆる「早い者勝ち」主義)によりますので、新しいタイプの商標の出願を予定している場合は、お早めにご相談ください。
特に、ブランドにとって重要なイメージカラーや効果音などがある場合は、まず使用実績を整理し、テレビコマーシャルやインターネット映像広告、新聞広告を保存するなどして、使用証拠を確保することをお勧め致します。
Q4. 何でも登録できる?
A4.「識別力」(※)の無い商標は拒絶理由通知を受けます。その場合、当該商標が「使用」された結果、識別力を獲得したという事実を立証できれば、例外的に登録が認められます。
※ 識別力… 需要者等が商品(サービス)を選択する際、自社の商品(サービス)を他社の商品(サービス)と区別して選択できるための目印となる力のこと。
また、例えば、「色彩のみからなる商標」が「国旗」と同一又は類似である場合や、「音商標」が「国歌」「救急車のサイレン音」を想起させる場合なども登録できません。
Q5. 「匂い」、「味」、「触感」、「トレード・ドレス」も登録できる?
A5. 今回の法改正では、他国で一部導入されている「匂い」、「味」、「触感」、「トレード・ドレス」については、登録の対象外となっています。

掲載日:2015.03.31
作成者:樋口
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